古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

宅飲み(その4)

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旨口の日本酒『猩々』と豚しゃぶとお豆腐で宅飲み

今週のお題は「雨の日の過ごし方」。雨の日は、家で過ごす時間が増えてしまう。好きな写真撮影にこのところ中々行けないのがもどかしい。最近では、もはや花金という言葉は何処へやら。僕自身、飲み会は昨年の奈良でのコロナ感染の始まり以降、全く行っていない。あの時は、奈良公園から人が一斉にいなくなって、今ではそのことも懐かしい感じになりつつある。週末の夜は、宅飲みで楽しむこの頃。日本酒は奈良県吉野町の北村酒造『猩々(しょうじょう)』(吟のさと)。能の演目「猩々」が由来のお酒。「猩々」とは、酒を飲んで波間に戯れ、舞を舞う妖精のこと。「猩々」のストーリーについて、以下『能鑑賞二百一番』から引用する。

中国の金山の麓、揚子の里に住む高風(こうふう)という孝行息子は、夢の告げを受けて市場で酒を売り、金持ちになったが、いつも必ずやってきて酒を飲んでいく客がいた。高風が客に名を尋ねると、男は水中に住む猩々だと答え、水辺で待てと言って消える。高風は酒壺を用意し、潯陽江のほとりにやってきて猩々の出現を待つ。やがて猩々が波間から浮かび上がり、酒を飲んで水上をたゆとうように波を蹴って舞を遊ぶ。そして高風の親孝行を褒め、いくら酒を汲んでも酒が尽きることがない不思議な酒壺を高風に与えて消え去った。

このストーリーを頭に巡らせながら飲む『猩々』は実に縁起の良いお酒と感じてしまう。因みに北村酒造は天明八年(1788年)の創業。歴史ある酒蔵である。「吟のさと」は、吉野町特有のお米。あては豚しゃぶに北海道産「とろける生とうふ」。日本酒に合う組み合わせ。週末もまたほろ酔い気分で過ごす。