古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

宅飲み(その2)

今週のお題「おうち時間2021」。新型コロナウィルスの感染が収まらない中、巣ごもりの日々における楽しみの一つ、前回に続き宅飲みの第二弾を記事にする。僕は日本酒が好きで、お酒の中でも最も嗜んでいると思う。何といっても和食に合うというところが良いし、奈良県は伏見や灘と同様、古くからの酒処であること、酒蔵の歴史が長く地酒の種類が多いところが良い。唐招提寺から歩いてすぐのところに奈良大和の地酒専門店である西の京地酒処の「きとら」という酒屋があり、そこでは、奈良の地酒がほとんど用意されている。他店ではなかなか手に入らない地酒もこの酒屋にいけば必ず置いてあるというぐらいの老舗である。

今回は、前回の「御代菊」という地酒とは違って、奈良ではメジャーな豊澤酒造の「無上盃」を購入した。海老寿司と枝豆はスーパーで買って日本酒のあてにして飲んだ。日本酒と寿司はとても相性がいい。徳利もお酒が進むようなデザインで大変気に入っている。奥には、家族に食べるように勧められたサラダがある。野菜もしっかり食べねばと思う。

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海老寿司と枝豆と日本酒で宅飲み

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薬師三尊像のうち薬師如来像

薬師寺金堂には、薬師三尊像が鎮座する。三つの著名な仏様のうち、今回の写真に載っているのは、中央の薬師如来像像である。その巨体からしても御利益のありそうな仏様である。写真が外からしか撮れないので、薄っすらとしか仏様の顔が拝めない。

薬師寺の僧たちの法話の中で面白くて印象に残っている話が、この薬師三尊像を、医師と看護師に例えるというものである。中央の薬師如来像は医師、両脇に控える日光菩薩像と月光菩薩像は看護師とされ、日光菩薩像は日勤の看護師と月光菩薩像は夜勤の看護師とされ、常に24時間体制で、三尊像が私たちの健康を見守ってくれているということであった。白鳳時代からの歴史ある仏様たち、新型コロナウィルスの感染が止まらない現状から是非とも私たちを感染から守り、ずっと看ていてほしいものである。写真の下の外部リンクは西山厚教授によるよもやま話である。内容はとても興味深い。

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薬師寺金堂の薬師如来像

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宅飲みを楽しむ

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日本酒と味噌と鴨肉で宅飲み

このGWは巣ごもりの日々でずっと家にいることがほとんであった。写真は宅飲みの一例。ここ一年以上居酒屋に行っていない。好みの日本酒は、奈良県橿原市の喜多酒造の『御代菊』。日本清酒発祥の地、奈良の正暦寺で分離された酵母と、奈良県産米(ひのひかり)を使用した奈良ブランドの純米酒。旨口で美味しい。お銚子はならまちで見つけた白磁の徳利でシンプルなデザイン。左下の味噌は唐招提寺で買った名物味噌。日本酒にとてもよく合う。味噌は薬師寺で買った赤膚焼の小皿に盛り付け。これで今日はほろ酔い気分であった。

薬師寺東院堂の基壇

薬師寺東院堂はもともとは奈良時代に建立された建造物で、後に鎌倉時代に再建され現在に至っている。以下、薬師寺の公式サイトからの引用である。

 東院堂は、養老年間(717~724)に長屋王の正妃である吉備内親王が母の元明天皇の冥福を祈り建立しました。 現在の建物は弘安8年(1285)に正面7間、側面4間の入母屋造本瓦葺で、南向きで再建されましたが、享保18年(1733)に西向きに変えられました。鎌倉時代後期の和様仏堂の好例です。

 とある。長屋王といえば、悲劇の皇子として、香芝市にある二上山に葬られた大津皇子と通じるものがある。どちらも実務能力の高い皇子として生前は評価が高かったはずである。しかし、大津皇子は持統天皇に陥れられ、長屋王は藤原四兄弟(藤原四子)により権力闘争に敗れてしまった。歴史に「もしも」はないが、この有能な二人の皇子が陥れられることなく政務にしっかりと携わっていれば、日本史の流れも変わっていたかもしれない重要な人物たちである。長屋王の正妃である吉備内親王も、729年に起こった「長屋王の変」により追い込まれ、3人の息子達と共に縊死した。長屋王と吉備内親王は共に生駒山に埋葬された。この辺りの歴史について独自の歴史観でその真相に迫っている小説が、永井路子さんの『美貌の女帝』である。蘇我氏の一派でありながら、乙巳の変で中大兄皇子側についた蘇我倉山田石川麻呂を源流とする氷高内親王(後の元正天皇)を主人公としたドラマの展開は大変興味深いものがある。この小説の中で、徐々に追い込まれていく長屋王とその妻であった吉備内親王の心の機微がうまく描かれている。写真はその古都の名残を彷彿とさせる薬師寺東院堂の基壇である。石の質感に惹かれて撮影した。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

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薬師寺東院堂の基壇

謎のズミクロン50㎜レンズ(2nd)

現在撮影によく使っているのが、ライカのズミクロン50mmの第二世代タイプである。1969年にリニューアルした、5群6枚構成のレンズである。0.7mまで寄れるのが僕のお気に入りの部分で、レンズのヘリコイドや絞りの操作もスムーズな個体である。ただ、不思議なのが、このレンズには製造番号(シリアルナンバー)が入っていない。購入店も含め中古カメラ店をいくつかまわって聞いてみたが、プロトタイプであるとか、単なるライカ側の刻印ミスではないかという話など、エビデンスがなく一致した見解がない。

ズミクロン50mmの初代固定型後期と第二世代の間には、一時期シリアルナンバー「226****」という1968年製の特殊な鏡胴をしたレンズが存在する。数はあまりなく、鏡胴がブラッククロームでかつ初代固定型後期の形をした波型ローレットを持っている。もしかしたら、このレンズが割と初期の第二世代にあたるのかもしれない。しかし、本物のプロトタイプのレンズなら、「000****」とか「BBB****」という表示になると思われるので、単なる刻印漏れのような気がしている。購入時の価格も、レンズの状態が良くないため(拭き傷、カビ跡多数)割安だった。もっと綺麗な個体を探せばよかったが、もの物珍しさが先行してしまい後悔している。

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なぜか製造番号のないズミクロン50mm f/2レンズ

このレンズに見られるカビ跡というのは、大変逆光に弱いことが分かる。二枚目の写真のようにフードを付けているにも関わらず、部分的に白くほわっとした描写がまだらに表れる。これも個性と捉え撮影するしかない。ただ、このレンズの被写体からのアウトフォーカスは美しく、ボケ味も気に入っている。所有しているこのレンズとSummilux 50mm f/1.4 ASPH.での雰囲気の違いを写真を載せながら比較してみる。やや条件が違う部分もあるが、どちらも絞り気味で晴天の日の写真である。いずれもフードはつけていて、jpeg画像にレタッチなしのものであり、撮影機材はライカMモノクロームである。

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レンズにカビ跡の多いSummicron 50mm f/2(2nd)で撮影した薬師寺東塔

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Summilux 50mm f/1.4 ASPH.で撮影した薬師寺東塔

上記のように、現行レンズの逆光対策は素晴らしく、絞れば問題はないが、オールドレンズでかつ無数のカビ跡の残る、所有の製造番号なしズミクロンは被写体を選んで撮影しないと難しい。暗めのシーンやF値2でボケ味の活かせる寄った写真がいいようである。以下のリンクは、Summicron 50mm f/2(2nd)の分解、清掃、修理に関するブログ記事である。

www.kitamura.jp

薬師寺勧進所のガラス戸

新型コロナウィルスの感染予防措置の一環として、薬師寺の名物といってもいい法話が現在中止になっていることが多い。薬師寺のお坊さんたちは、話術に優れ、この法話を何度か聞いたことがあるが、大変面白い。法話の日程など詳しくは薬師寺さんへ直接問い合わせ(TEL 0742-33-6001)するのがいいと思う。写真は、その法話がよく行われている勧進所で撮影した。中門前すぐのところにあり、この日は誰もいなかったため、入り口のガラス戸に映り込む薬師寺南側の回廊を撮影することができた。ズミクロン50㎜レンズのとろけるようなボケ味もいいと感じた。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

5月3日(月・祝)白鳳伽藍での法話
11時~    講師:後藤信行
13時30分~ 講師:後藤信行
場所:勧進所

明日の予定は以下のようにツイッターに載っていた。

5月4日(火・祝)白鳳伽藍での法話
11時~    講師:後藤信行
13時30分~ 講師:安田奘基
場所:勧進所

状況により、変更・中止になる場合がございますということである。感染には十分に注意していただきたい。

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薬師寺勧進所のガラス戸の映り込み

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薬師寺に咲く白牡丹

薬師寺境内には、多くの春牡丹が4月~5月にかけて咲いている。春牡丹は一般的な品種で、春と秋に花をつける二季咲きの寒牡丹や冬牡丹(1月~2月に開花する)などの種類がある。著名な白居易の『長恨歌』で登場する楊貴妃は、玄宗皇帝の寵愛を受けたことで有名であるが、彼女が好きな花が「牡丹」であったらしい。『源氏物語』に登場する桐壺帝と桐壺更衣の物語は、この白居易の『長恨歌』をふまえて構想されていることは、よく知られていることである。写真の白牡丹は薬師寺境内の拝観受付の近くに咲いていて、側に寄って写真を撮ることはできなかった。したがって少し距離感がある。牡丹の中でもこの白い牡丹は透き通るような美しさを持っている。そろそろ枯れ落ちてしまう時期になってしまった。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

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薬師寺境内に咲く白牡丹

薬師寺金堂と雨の境内を歩く僧

夕刻の薬師寺。まもなく拝観時間が終わろうという時間帯だった。薬師寺の南門から入ってこられた傘をさしたお坊さんが、ゆっくりと今度は中門をくぐられ、薬師寺金堂へ向かって歩き始めた。とっさに後姿を追って撮影したのがこの写真。人との対比で金堂の大きさが分かるという意味でも、いいタイミングで写真を撮ることができた。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

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薬師寺金堂と雨の境内を歩く僧

雨の日の薬師寺東側回廊

この日も雨であった。最近は梅雨でもないのに雨の日が多い。雨の日に美しいと思うのが、寺院の屋根瓦の仄白い反射光である。被写体は薬師寺東塔横の東側回廊の屋根である。長く美しく配列された屋根瓦が、雨に濡れて淡い光を放っていた。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。僕の所有するこのズミクロン50㎜(2ndタイプ)はやや逆光に弱いので、ここでは少し絞り値を絞っている。

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雨の日の薬師寺東側回廊

薬師寺東院堂聖観音像

薬師寺境内にある東院堂は鎌倉時代の建造物である。再建された建造物の多い薬師寺の中にあっては、古都の名残を感じさせる建物である。僕はこの東院堂にいらっしゃる白鳳時代の傑作と言われる聖観音像にいつも感動を覚える。仏像の薄い衣の襞(ひだ)から足が透けて見える彫刻法がインドのグプタ朝の影響を受け、どことなく異国情緒が漂う仏様である。白鳳時代の仏像群はその前の飛鳥時代の荘厳な雰囲気の仏像群と違い、若々しく生き生きとした表情をしている。その中にあってこの聖観音像はより瑞々しい表情を持ち、洗練された美術的な美しさを感じる。東院堂の中では写真が撮れないので、外からならいいですよとお聞きしてこの写真を撮影した。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

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薬師寺東院堂聖観音像

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