古都の名残を求めて

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古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

洋書『LEICA&LEICAFLEX LENSES』を購入

先日、『LEICA&LEICAFLAX LENSES』というライカのオールドレンズに関する洋書を購入した。この本は、どこだったか、中古カメラ屋を巡っている中で見かけた本で、何だかよさげな本だと思っていた。実際手に取ってみると、全て英語で書かれている点を除けば、なかなか内容的には優れた書籍だと感じる。今回紹介するのは、エルマリートC40㎜ F2.8レンズについての記述である。この不運なレンズについては、以前記事に書いた(「不運なレンズ、エルマリートC40mm」)。この書籍には、知りたかったエルマリートC40㎜ F2.8のレンズ構成図や知らなかったこのレンズについての情報が載っていたので購入して良かった。

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『LEICA&LEICAFLAX LENSES』の表紙

表紙はこのような感じで、いかにもライカのレンズについて詳しそうな印象を受けるし、デザインも良いと思う。

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『LEICA&LEICAFLAX LENSES』よりLeitz Elmarit-C 40mm f/2.8部分の記述

写真はエルマリートC40㎜ F2.8についての記述のページ。以下、この本からの引用で英語を和訳している(ただし、少しあやふやな訳の部分もあるのでご勘弁願いたい)。

 This almost unknown lens is a classic for collectors just like a unique stamp. It was designed at the start of the CL camera programme, in order to keep the price of the basic equipment(camera and lens)as low as possible. It was a good lens performance wise, also considering the fact that its dimensions had been kept to a minimum.

 As the development of the camera went on, it was decided that the body was to built by Minolta in Japan, and the lens could(and should)be a more expensive one; this give origin to the Summicron-C.

 このほとんど知られていないレンズは、珍しい切手のようにコレクターにとってクラシックな(定番な)ものです。これは、基本的な機器(カメラとレンズ)の価格を可能な限り低く抑えるために、CLカメラ(Leica CL)プログラムの開始時に設計されました。 寸法が最小限に抑えられていることも考慮して、レンズの性能は良好でした。カメラの開発が進むにつれ、ボディは日本のミノルタによって製造されることになり、レンズはより高価なものになる可能性があります(そしてそうあるべきです)。これがズミクロンCの原点です。

 Meanwhile some 400 units of the Elmarit-C had been programmed and serial numbers allocated(from 2.512.601 to 2.513.000); a typical Elmar design with four elements with a cemented pair at rear this lens apparently was stopped in its tracks and should not have found its way into the sales organisation: however it is known at least one customer got a Leica CL camera with the Elmarit-C 40mm lens mounted in place of the standard Summicron-C 40mm; thus we know that the code number of this lens should have been 11541, but it was never mentioned in the catalogues.

 Set in a black focusing mount it could be focused to 0,8 metres or 32 in. and closed to f22; at the minimum focusing distance it covered a field of 25” × 17” or 650 × 434mm.
Most of the lenses made were sold to people inside the Leitz factory during or after 1973. Apparently the lens does not have a lens hood of its own although its design suggests the use of the Summicron rubber hood.

 その間、Elmarit-Cの約400ユニットがプログラム化され、シリアル番号が割り当てられました(2.512.601から2.513.000まで)。 後部に接合されたペアを備えた4つのエレメントを備えた典型的なエルマーのデザインは、明らかにそのトラックで停止されており、販売組織に入るはずがありませんでした:ただし、少なくとも1人の顧客が、標準のSummicron-C40mmの代わりにElmarit-C40mmレンズを取り付けたLeica CLカメラを入手したことがわかっています。 したがって、このレンズのコード番号は11541である必要があることがわかりますが、カタログには記載されていません。

 黒のフォーカシングマウントにセットすると、0.8メートルまたは32インチにフォーカシングでき、(絞りが)f22までとなっている。最小焦点距離では、25インチ×17インチまたは650mm×434mmのフィールドをカバーしました。製造されたレンズのほとんどは、1973年以降にライカ工場内の人々に販売されました。どうやらレンズには独自のレンズフードがありませんが、そのデザインはズミクロン(Cレンズ)のゴム製フードの使用を提案、促しています。

この記述を訳してみて、気付いたことがある。Elmarit-C 40mm f 2.8のレンズ4枚構成が大変Elmar 35mm f 3.5に似ているということである。また書籍に書かれているスペックを比較してみると、

・Elmar 35mm f 3.5レンズ

画角:64°  レンズは4枚構成 最小焦点距離:1m  最小絞り:18

・Elmarit-C 40mm f 2.8 レンズ

画角:57°  レンズは4枚構成 最小焦点距離:0.8m  最小絞り:22

となっている。4枚のレンズの形状やその間の距離がそれぞれ多少違っているが、レンズの配置についてはよく似ていることが分かった。同じパンケーキレンズという点も酷似している。Elmarit-C 40mm f 2.8レンズはElmar 35mm f 3.5レンズをもとに製作されたと予測できるかもしれない。しかも80センチまで寄れるところもこのレンズの良い点である。フードがオリジナルのものがなく、後からつくられたSummicron-C 40mm f 2のラバーフードを代用している点も勉強になった。この本を買って良かったと思う。さらに他のレンズについても読み込んでいきたい。

hasselphoto201909.hatenablog.jp