古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

法隆寺東院夢殿と秘仏救世観音菩薩立像

法隆寺東院夢殿

法隆寺には伽藍が三つ存在する。創建当初の若草伽藍、その後焼失し再建されたとされる、金堂や五重塔のある現存の西院伽藍、そして奈良時代に建立された東院伽藍。それぞれ同じ境内にあるため、広大な敷地となっている。若草伽藍については、現在公開されておらず見ることはできないが、法隆寺夏季大学においてのみ見学が可能のようである。写真の夢殿は奈良時代に建立されたものであり、堂内には10月22日~11月22日に公開予定の秘仏救世観音菩薩立像が安置されている。救世観音菩薩立像は、聖徳太子が生きているときにその姿をうつした等身像だと伝えられている。

この東院伽藍であるが、もともとは聖徳太子が住んだ斑鳩宮があった場所である。ところが太子の死後、息子の山背大兄王が蘇我入鹿によって滅ぼされた後、斑鳩宮跡が荒廃しているのを悲しみ、聖武天皇の皇太子・阿倍内親王(のちの孝謙天皇)が奈良時代の739年に創建させたと伝えられている。この時空の違う三つの伽藍が同時に存在している法隆寺という古刹は、その歴史を鑑みると大変興味深く、写真を撮っている時も不思議な感覚に浸ってしまうことが多い。

撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Leitz Elmarit-C 40mm f/2.8

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