古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

薬師寺西塔の風鐸

写真は、薬師寺西塔の風鐸である。風鐸とは、寺の堂や塔の軒の四隅につり下げて飾りとする、鐘形の鈴のことである。当時の日本では、強い風は流行り病や邪気などの災いを運んでくると考えられていたようで、その音が聞こえる範囲は聖域とされ、災いを除くという意味合いもあるようだ。

現在、薬師寺の西塔、東塔ともに初層が特別公開中である。奈良県でも新型コロナウィルスの感染者がうなぎ登りである今の状況では、なかなか訪れにくいと思うが、この西塔の内陣には、文化勲章受章者の中村晋也氏による釈迦八相像のうち果相の四相が祀られている。法隆寺五重塔のそれと似ていて圧巻である。西塔の初層については、薬師寺の公式サイトから以下のような記述があるので引用してみる。

当初、薬師寺の西塔初層には、お釈迦様の生涯を八場面に分けたうち果相の四相(成道・転法輪・涅槃・分舎利)が、塑像で作られ安置されていました。 しかし、多くが損傷してしまい現在は残欠が伝わるのみです。平成27年(2015)に、中村晋也氏によって新たに造像され、奉納・安置されました。

薬師寺西塔は、藤原京の時代からツインタワーの一つとしての役割を果たしていたが、1528年(享禄元年)に興福寺の衆徒や筒井順興(筒井順慶の祖父)による兵火で東塔や東院堂を残し全山焼失した。現在、奈良時代の建物は東塔を残すのみである。その後長らく西塔は再建されなかったが、1981年(昭和56年)に約450年ぶりに再建された。建立当初の三重塔の色合いやイメージを感じるには、むしろこの新築状態に近い西塔が参考になる。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

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薬師寺西塔の風鐸

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