古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

興福寺東金堂の風鐸

写真は興福寺東金堂の風鐸と背景には夕刻の青空を広めに入れてみた。風鐸とは、「寺の堂や塔の、軒の四隅につり下げて飾りとする、青銅製で鐘形をした鈴。」のこととネットで検索すると出てくる。以下、株式会社滝本仏光堂のサイトより引用である。

風鐸は、強い風が吹くとカランカランと鈍い音がします。昔、強い風は流行病や悪い神をも運んでくると考えられていたことから、邪気除けの意味でつけられており、この音が聞こえる範囲は聖域であるので災いが起こらないといわれている。風鐸はもともと、中国で唐の時代に竹林の風鐸を吊り下げて物事の吉兆を占う「占風鐸」というものがあり、それが日本に仏教建築文化とともに伝来したと考えられています。平安時代後期には貴族の屋敷でも軒先に魔除けとして風鐸を吊るしたそうで、やがて気温湿度が上がり菌が繁殖して病が広がりやすい暑くなる時期の魔除け道具、暑気払いの器具「風鈴」として庶民にも定着していきました。

僕は、この説明の中の魔除けとその音が聞こえる範囲が聖域という考え方に興味を持った。さらに風鈴の原型というのも頷けるところである。以前、奈良国立博物館で展示のあった『大安寺のすべて』では、現存していない大安寺西塔の巨大な風鐸が発掘され展示されていた。奈良時代、先人たちが音によって魔除けをしたという発想には納得できる。音は目に見えず、いつまでの響き渡ることからその効果が大きいと考えたのだと思えてくる。科学の発達していない時代だからこその想像力のなせる発想と思えてくる。

興福寺東金堂の風鐸

撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Carl Zeiss Jena Tessar 50mm f/2.8(C mount)

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