古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

「40mm」という画角を考える(その1)

Gangoji-Temple #1 by Hiro .M on 500px.com

元興寺極楽堂にて撮影(撮影機材はSigma DP2Merrill、40㎜のレンズが付属)

京都府木津川市にある恭仁京跡の礎石を撮影(撮影機材はSigma DP2Merrill)

法隆寺の歩廊にて(撮影機材はLeicaMMonochrom(Typ246)+Leitz Elmarit-C 40mm f/2.8

このところコシナから「HELIAR 40mm F2.8 Aspherical」という切れ味鋭そうなレンズが発売され、40mmという画角が注目されつつある気がする。ライカの標準レンズといえば単焦点の50mmレンズを思い浮かべるし、あるいは35mmこそは標準レンズだという声も聞こえてきそうである。ライカには50mm派と35mm派が存在していて、常にそのどちらかを標準にと考える写真家やユーザーが多いと思う。レンズの種類も豊富である。僕はどちらかといえば50mm派で、現行ズミクロン50mm(4th)や持ってはいないが、初代の固定鏡胴50mmズミクロンこそは最強と思っている人間である。ブラックペイントの初代の固定鏡胴50mmがもし見つかれば是非とも一度手にしたいと思っている輩である。

昨年度末くらいであったろうか、フィルムカメラのライツミノルタCLを購入した。もちろん中古であるがOHされた個体らしく、快調に撮影ができている。このカメラにピッタリとはまったのが、最近よく撮影に持ち出しているライカのエルマリートC40mm f/2.8である。ライカのカメラにあっては珍しく40mmのフレームが標準で見えているし、レンズも本来ならロッコール40mm f/2を付けるべきだと思うのだが、先にエルマリートC40mm f/2.8を持っていたので、これを標準としてフィルム撮影することになった。ライツミノルタCLというカメラのコンパクトさもあると思うが、撮影には40mmが大変心地よく、その使い勝手のよさに目覚めてしまった。

僕は長い間、Sigma DP2 Merrillというカメラでモノクローム中心に古都奈良のイメージを撮影してきたが、このカメラには優れた40mmレンズが標準で付いており、その感覚も手伝っているのかもしれない。50mmで入らないと思った被写体が40mmでは入る。でも35mmほど広角でなくていいという場面は寺院を撮影していると結構多い。Sigma DP2 Merrillというカメラは適度に寄れる良さもあるが、その画像、画角は納得のいくものであり、TIFFデータをハーネミューレやCanson社のインクジェット紙でプリントした写真は階調豊かなモノクロームを表現してくれる。

その影響もあると思うが、僕は40mmレンズにあまり違和感を感じない。レンズに欠陥があるという理由もあり、市販されなかったライツのエルマリートC40mm f/2.8レンズ。結果として代わりにズミクロン40mm f/2が標準レンズとして世に出された経緯はあるものの、40mmの先駆けとなったのは、このエルマリート40mm f/2.8である。写りはごく普通、Sigma DP2 Merrillには敵わないが、僕は素朴で主張の少ないやや滲みのあるこの40mmレンズが気に入っている。Sigma DP2 Merrillの画角そのままに、シグマ独特のファイルレタッチ編集の気難しさにも悩まされることなく、LMMとエルマリート40mm f/2.8で、日々古都奈良の撮影をしている。

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