古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

薬師寺東塔南側の側面

薬師寺東塔は「三重塔」である。しかし、どうみても六重塔に見える。例えば興福寺の三重塔は、まさに見たままの屋根が三つの三重の塔である。この稀に見る巨大な三重塔は三つの裳階を加えることで、より美しく見えるよう考えられている。古代の人々は、いったいCADなどのソフトがないのにどうやってこのスケールの大きな空間のデザインをしたのであろうか?大変興味深いところである。しかもこの東塔は、地震に強い超免震構造となっている。大きな揺れには、心柱を中心に思い切り塔を揺らすことによりその衝撃をうまく逃がせる構造になっている。随所に使われている古代和釘というのもよく考えられていて、木の伸縮により全く釘が抜けないように計算されている。先人たちの知恵は想像を超える凄みがある。写真は薬師寺東塔を南側から見たものである。どのパーツをとっても美しいと感じてしまう自分がいる。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summicron 50mm f/2(2nd)。

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薬師寺東塔の南側側面