初期型のズミルックス50ミリf/1.4レンズで先日法隆寺五重塔の基壇を撮影してみた。以前から他のレンズでも撮影してきたが、このレンズでの描写が最も柔らかくて美しいと感じた。また後日プリントしてみたいと思っているが、経年変化の激しい版築による強固に固められた基壇の文様は個人的にはユニークで興味のある被写体である。
最新の研究では、この法隆寺五重塔の心柱は、年輪年代を科学的な調査により解析し、594年に伐採されたものと判明している。これは法隆寺境内にある建造物のなかでも最も古い年代にあたり、聖徳太子が活躍した時代と符合する。法隆寺は日本書紀によれば、670年に再建されたとされるが、五重塔だけは、オリジナルの若草伽藍(607年に建立か?)の時代にあたるものであり、そこから現在の位置に移築されたのか、それとも貯木されていた木材を使ったのか、はたまた長らく別の形で使われていた心柱を転用したのかなど謎が多い。今後の研究を待ちたいところである。
撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Leitz Summilux 50mm f/1.4(初期型)