古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

Leitz Xenon 50mm f/1.5レンズの写りと魅力

LeicaMMonochrom(Typ246)+Leitz Xenon 50mm f/1.5レンズ

オールドレンズの代表格といってもよいLeitz Xenon 50mm f/1.5レンズ。最近はめっきり中古カメラ屋でも見かけなくなった気がする。かつては7万~10万円ぐらいで売っていたが、曇ったレンズや拭き傷の多いものが多く、買ってもすぐに手放すという感じのレンズであった。さらに後継のズマリット50ミリやズミルックス50ミリの写りの方が開放での写りも素晴らしく、絞ってはディテールまでしっかり写ることもあり、モノクロームに於ても両者の人気の方が高いと感じる。

クセノン50ミリレンズには、ツーバンドとスリーバンドの鏡胴があり、どちらも工芸品的な美しさがある。ドイツのプロダクトデザインのレベルの高さを感じることのできるレンズである。個人的には、ズマリットの武骨な鏡胴や白鏡胴タイプのズミルックスの隙のないデザインより、このクセノンの鏡胴がお気に入りである。特に所有のスリーバンドは、オールドレンズならではのバランスの取れた造りの良い筐体となっている。このレンズを欲しくなったきっかけは、以下の本にライツのレンズが紹介されていて、特にクセノンのポートレート作例に惹かれたからであった。

hasselphoto201909.hatenablog.jp

クセノン50ミリレンズを僕が気に入っている点は、他のオールドレンズに比べ、法隆寺のような古刹に見られる木材の質感をうまく表現してくれると感じるからである。特に木目の表現において、柔らかさは必要であり、あまりシャープに細かく写り過ぎるレンズの場合、経年変化が汚く表現されてしまう恐れがある。その点において、このレンズはモノクロームにおける木材の質感の表現に向いていると思う。

法隆寺西院伽藍東回廊の連子窓

撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Leitz Xenon 50mm f/1.5

その他、余談となるが、このレンズに関する『世界ヴィンテージ・カメラ大全』からの引用もあったので載せてみた。

最大のライバル、コンタックスには当時世界最高の光学メーカーの名をほしいままにしていたカール・ツァイスが威信をかけた、世界最高の明るさを誇るゾナー50mmF1.5レンズが存在しており、その性能の高さからもライツを脅かしていた。ライツ社は残念ながら自社ではゾナーに対抗しうる高性能レンズを開発できず、同じドイツの著名なレンズメーカーであったシュナイダー社に協力を依頼して開発してもらったレンズがクセノン50mmF1.5である。レンズ構成は5群7枚のガウス型で、外観は固定鏡胴、外装は全体がクロームメッキ仕上げの高級感あるレンズである。面白いことにこのレンズ構成は英国のこれも有名なレンズメーカーである、テーラー&テーラー・ホブソン社が英国特許を先行取得してしまったため、英国向けに輸出したレンズの鏡枠にはテーラー・ホブソン社が英国特許を取得しているという刻印がされている。クセノンは1949年に後継のズマリットが登場し交代した。

撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Leitz Xenon 50mm f/1.5

人気ブログランキング