東大寺二月堂の境内には、一段高い場所に飯道(いひみち)神社がある。南東側の裏手に位置する小さな神社である。本社は滋賀県甲賀に鎮座される飯道神社といわれているが、起源についてはよく分からないようである。奈良時代、聖武天皇は天平15(743)年10月に近江国(滋賀県)の紫香楽宮で「大仏造立の詔」を発し、甲賀寺の建設と大仏造りに着手した。その後、地震や火災が頻繁に続いたために平城京へその舞台が移されたが、飯道神社は、この紫香楽宮跡に近いところにある。私見ではあるが、何かつながりがあるのかもしれない。
飯道神社は、周辺にある「遠敷(おにゅう)神社」・「興成(こうじょう)神社」とともに東大寺二月堂の「鎮守神」となっており、「お水取り」で知られる「修二会」においては、練行衆と言われる僧侶たちがこれらの鎮守社をお参りすることになっている。
飯道神社のある場所は、二月堂の舞台上よりさらに高い位置にあるため、写真のように大変眺めが良い。
撮影機材:LeicaMMonochrom(Typ246)+Carl Zeiss Jena Tessar 28mm f/8