先日、現在開催されている〔没後30年 入江泰吉「大和のみほとけ」〕を見に行くために、入江泰吉記念写真美術館へ行ってきた。著名な奈良の写真家入江泰吉さんについては、以前入江さんの旧居を訪れた際の記事で紹介した。
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今回の展示は、仏像のモノクローム写真を中心とした作品展であった。入江さんが撮る仏像はいずれも表情豊かであり、仏様がじっとこちらを見据えているような感覚に陥る。生前の入江さんには、仏像については、簡単には撮影できない被写体であり、写す側の心の持ちようも大切であるという主旨のコメントがあったと記憶している。撮影された年代は様々であったが、展示されていたいずれの銀塩写真作品も古さのようなものは一切感じられず、見応えのあるものであった。
入江泰吉の写真作品とともに、今回は「新鋭展」も同時開催されていた。女性写真家の鵜川真由子「WONDERLAUND」、野口靖子「赤光の庭」、石井陽子「鹿の惑星」が取り上げられていて、3人の異なる視点と表現が紹介されている。奈良らしい作品群の「鹿の惑星」は見ていて微笑ましい、奈良公園の鹿たちの神出鬼没なところがよく表現されている楽しい展示であった。写真を撮るだけでなく、たまには写真を鑑賞することも大切だと感じた一日であった。