古都の名残を求めて

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古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

ライカレンズの価格高騰(その1)

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Leica MMonochromとライカのレンズ

一昨年あたりからライカのレンズの価格が軒並み高騰していて、ライカインフレともいうべ現象が起きている。僕自身ショックなのは、ズマロン三半という愛称で呼ばれるSummaron 35mm f/3.5レンズのM型のタイプが10万以上でしか買えなくなってきている事実である。

ズマロン三半には、細かく分けて五つのバージョンが存在する。最初の二種類は、1946年からの旧ズマロンで、スクリューマウントで小ぶりな筐体、写りも素晴らしいときている。生産数も多く、80019本とされる。後期型はM型ライカ用に作られたものをスクリューマウントにしたのもので、こちらは80000本の内18000本ほどしかない。後期型については、状態のいいものを見つけるのに少し苦労するレンズである。

次に1954年からのM型のズマロン三半であるが、こちらは三種類存在する。製造本数はメガネなしが20064本、メガネ付きが19141本である。メガネなしのもので、初期型のM3用で35ミリのフレームが出ないタイプと違い、M2に対応した35ミリのフレームが出るタイプが後期型に見られるが、これは製造品数がはっきりせず、数が少ないようで隠れた希少品となっている。

以前ならズマロンは40000円~55000円くらいというのが相場だったが、直近では、スクリューマウントのズマロン三半で70000円~80000円、M型用だと130000円~190000円くらいになっている。何という価格の上がり方だろうと、頭を抱えてしまう。同じように定番レンズだったエルマーの50ミリf/3.5レンズにしても70000円~90000円くらい、エルマーの35ミリf/3.5レンズも以前は安かったが、このところ120000円~150000円となっている。信じられない高騰ぶりである。

ノクチルックス50㎜f/1.0は70万円~80万円、ズミクロン35ミリの8枚玉は65万円~80万円ほどが相場となりつつある。M3、M2、M4のブラックペイントも中古カメラ屋ではあまり見かけなくなっていて、希少品となっている。また美品となればさらに高く売られる。ライカのカメラやレンズは、いまほとんど投機対象となっている感じがする。中国(香港)や台湾、海外の富裕層が買っていくケースが多いようで、日本人がどれほどストックしているのかも分からない。いい写真を撮るツールであるはずのレンズが、宝飾品のような高級品として手の届かないものとなってしまうのは、大変残念である。これからは、貴重なレンズを追い求めるのではなく、お気に入りの自分が買える範囲のレンズでいかに人に見てもらえるような、買ってもらえるような写真を撮れるかに重きを置いた方がいいのかもしれない。機材よりも写真の質を上げることが大切だと自分では考えている。

まだ、今のところ、まだあまり高騰していない、ライカのレンズの代表といえば、ズミタール50ミリf/2レンズ、スミクロン50ミリf/2(2nd)あたりかもしれない。廉価な写りの良いレンズとしてはジュピター50ミリf/2レンズもある。コシナのレンズもライカに負けていないと思う。ものは考えようかもしれない。あまりライカレンズやカメラに重きを置いても仕方がないような、そんな価格高騰現象が起きていると思う。

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