古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

謎のズミクロン50㎜レンズ(2nd)

現在撮影によく使っているのが、ライカのズミクロン50mmの第二世代タイプである。1969年にリニューアルされた5群6枚構成のレンズである。0.7mまで寄れるのが僕のお気に入りの部分で、レンズのヘリコイドや絞りの操作もスムーズな個体である。ただ、不思議なのが、所有のレンズには製造番号(シリアルナンバー)が入っていない。購入店も含め中古カメラ店をいくつかまわって聞いてみたが、プロトタイプであるとか、単なるライカ側の刻印ミスではないかという話など、一致した見解がない。

ズミクロン50mmの初代固定型後期と第二世代の間には、一時期シリアルナンバー「226****」という1968年製の特殊な鏡胴をしたレンズが存在する。数はあまりなく、鏡胴がブラッククロームでかつ初代固定型後期の形をした波型ローレットを持っている。もしかしたら、このレンズが割と初期の第二世代にあたるのかもしれない。しかし、本物のプロトタイプのレンズなら、「000****」とか「BBB****」という表示になると思われるので、単なる刻印漏れのような気がしている。購入時の価格も、レンズの状態が良くないため(拭き傷、カビ跡多数)割安だった。もっと綺麗な個体を探せばよかったが、物珍しさが先行してしまい後悔している。

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なぜか製造番号のないズミクロン50mm f/2レンズ

このレンズに見られるカビ跡というのは、大変逆光に弱いことが分かる。二枚目の写真のようにフードを付けているにも関わらず、部分的に白くほわっとした描写がまだらに表れる。これも個性と捉え撮影するしかない。ただ、このレンズの被写体からのアウトフォーカスは美しく、ボケ味も気に入っている。所有しているこのレンズとSummilux 50mm f/1.4 ASPH.での雰囲気の違いを写真を載せながら比較してみる。やや条件が違う部分もあるが、どちらも絞り気味の晴天の日の写真である。いずれもフードはつけていて、jpeg画像にレタッチなしのものであり、撮影機材はライカMモノクロームである。

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レンズにカビ跡の多いSummicron 50mm f/2(2nd)で撮影した薬師寺東塔

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Summilux 50mm f/1.4 ASPH.で撮影した薬師寺東塔

上記のように、現行レンズの逆光対策は素晴らしく、絞れば問題はないが、オールドレンズでかつ無数のカビ跡の残る、所有の製造番号なしズミクロンは被写体を選んで撮影しないと難しい。暗めのシーンやF値2でボケ味の活かせる寄った写真がいいようである。以下のリンクは、Summicron 50mm f/2(2nd)の分解、清掃、修理に関するブログ記事である。

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