古都の名残を求めて

古都の名残を求めて

古都奈良の雰囲気の残る場所をフィルムやデジタルで記録したモノクローム写真のブログです。

薬師寺東塔の美しさ

写真は、薬師寺東院堂側からみた回廊越しの薬師寺東塔である。近くには大きな松の木もあるところである。薬師寺境内の建造物は、ほとんどが近年に再建されたもので、この東塔と東院堂のみが古都の名残を残した建造物といえる。東塔は730年の建立とされるので、最も古く、往時の雰囲気を佇ませている。特に注目したいのは、明治時代にお雇い外国人の一人であったフェノロサが残した「凍れる音楽」という薬師寺東塔への賛辞である。相輪に見られる「水煙」と呼ばれる飾りの美しさにその言葉が集約されている。1300年という時代を超えて、今も聳え立つ東塔には、僕にとっては感動しかない。戦災や疫病の流行、火難などの困難を乗り越えて、今もこの場所に建っているということ自体が奇跡ではないだろうか。撮影機材は、ライカMモノクローム+Summilux50mm f/1.4 ASPH.。

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聳え立つ薬師寺東塔