古都の名残を求めて

ハッセルブラッドで奈良をフィルム撮影したモノクローム写真のブログです。

天香山神社にて

天香山神社の祭神は,櫛真智命神(くしまちのみことのかみ)です。境内にある「朱桜(にわざくら)」という古名で知られる「波波架の木(ははかのき)」は,昔は占いに用いられたそうです。香具山の麓にあるこの神社の近くには,舒明天皇の大きな歌碑があります。萬葉の古都のイメージそのままの地であり,僕はこの場所が大変気に入っています。いつか香具山に登ってみたいのですが,まだその機会がありません。舒明天皇の歌碑に記された万葉集巻一の二番目に収録されている「舒明天皇の国見の歌」は以下の通りです。

萬葉集 巻一(二)
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大和には 郡山(むらやま)あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見(くにみ)をすれば 国原(くにはら)は 煙(けぶり)立つ立つ 海原(うなはら)は 鷗(かまめ)立つ立つ うまし国そ 蜻蛉島(あきづしま)大和の国は 

訳:大和には多くの山があるけれど とりわけ立派な天の香具山 その頂に登って大和の国を見渡せば 土地からはご飯を炊く煙がたくさん立っているよ 池には水鳥たちがたくさん飛び交っているよ ほんとうに美しい国だ この蜻蛉島大和の国は

※「国見」とは、天皇が国土の繁栄をあらかじめ祝う儀礼行事のことです。

香久山は,古い伝承から「天から降ってきた」とされていて,大和三山の中にあっては最も神聖視された山です。大神神社のご神体が三輪山であるのと似ているような気がします。そんな香具山の麓にある「天香山神社」の鳥居と紙垂をハッセルブラッドでフィルム撮影しました。逆光でしたが,プラナー80㎜レンズのボケの美しさがクッキリと出ました。僕の使っているCレンズは,白鏡胴のT*コーティングではない個体です。7枚玉の写りのいいレンズです。

天香山神社の鳥居